二人を受け止めようと思えば手を伸ばせたかもしれない。



一瞬、何が起きたのかわからなくて

フワリと堕ちてきた白い羽根を、オレは黙って見ていた。

誰もが息を飲んだ。


「──あ
     あ

      あ


   あ…





ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…っ!!!!!!」





「きゅ…救急車だ!!」

誰かが叫ぶ。

オレは無我夢中で堕ちた二人の元に駆け寄ろうとした。

「ダメだ!見るんじゃない!!」

近くにいた刑事がオレの腕を掴んで離さなかった。

それでも力で彼らの手を振り払い、血まみれになった二人のそばに行った。



血に染まる、白いシーツにくるまれた二人の身体。

頭から落ちたのか、頭部が激しく損傷していて

紅い血と白い頭蓋骨らしきものと、その中のものが辺りに飛び出していた。

夜が明け始めてから少し経つ。
辺りは色の判別がつくほど明るくなっていた。



───二人が
即死だったと

誰もが確信していたから、誰も二人を救護しようとはしなかった。



「あぁぁぁぁぁ…っ!!
あぁぁぁぁぁぁっ!!」



二人の前に膝をついて、オレは声にならない叫び声をあげるだけだった。