「さぁな…どうだったかな…」
佳依は穏やかな笑顔で言った。
好きだったのね───
私、わかった気がする
きっと佳依も私も透依が好きで、透依が欲しかったの。
だけど透依は佳依をライバルのように思っていて、大人になっていくのと共に溝が深くなっていってしまった。
両親の愛情を求めていても、満足できる程は与えられず嫉妬して
それは歪んだカタチの愛情へと変化していった。
真っ直ぐで、頼りがいのある透依。
一度腕の中に入ってしまったら、何があっても守ってくれそうな人。
私達みたいにね、考え方がネガティブじゃなくて
マイナスをプラスに変えようとする力に溢れていて
一緒に居たら
私も変われそうな気がしてた。
憧れてたのかもしれない。
だけどもう、こうするしかない…
もう会えないのなら
誰かに深く愛されて
誰かを深く愛せたなら
それだけで良かったのにね
「私達…上手く飛べるかな」
「…多分な」
朦朧とする意識のなか、窓を開けた。
強い風を頬が感じる。
佳依とシーツにくるまって、彼にしがみついて
最後に
白み始めた空を見たような気がした───…