「──え…?」

私は佳依の顔を見た。少し涙目になって、それでも佳依らしい笑みを浮かべている。

それでも

全て終わったという表情を見せていた。

「捕まって、懲役くらっても俺はやり直せるとは思わない…

多分、俺は無理だ。だから捕まりたくない」

そして佳依は、ポケットからたくさんのSweetPainを取り出した。

「無理矢理一緒に飛ぼうとは言わない。レイナがやり直したいなら自首すればいい。

ここで待っていればじきに警察が来るから」

SweetPainの甘い誘惑

どれほど罪を償っても、もう透依は私を愛すことはないのだと思うと

全て失った絶望感に襲われる。

大切な家もなくした。お母さんも私を捨てて死んだ。

『死』が
全てを救ってくれると

私はずっと思っていた。





生きていく価値がないのなら────



私は冷蔵庫を開けて、冷えた缶ビールを取り出した。

「これが最後のダイブよ。佳依…もう終わりにしようか…」

「──そうだな…」


二人で缶ビールを少しずつ飲みながら、SweetPainを数錠、口に入れた。

甘い

甘い

罪の味



「佳依、透依のこと、好きだったのよね…?」