お母さんが、私を一緒に連れて逝ってくれたら

こんなに辛い事ばかりの時間を独りで過ごす事もなかった。

周りの人達を傷つける事もなかった。

人を傷つけて、平気なわけないじゃない。

SweetPainでたくさんの人を不幸にした。不幸になった人を見るたびに自分が嫌いになった。

全て私が悪いの。

透依に近づいたばかりに、彼を不幸にする。私に人を好きになる資格なんてない…



千夏とお義父さんから別れ、消えていく家を見る事も耐えられず

歩きだした時、私の横で白いベンツが静かに停まった。

助手席の窓が降りて、運転手がナンパでもするように明るい声で話しかけてきた。

「やぁーっと見つけた!この辺に来ると思ってたんだよね」

「か…佳、依…」

全身が凍りついた。腕や背中が鳥肌になりザラついた感触になった気がする。

「なにしてんだよ?早く乗れって」

──逃げられない

私の足はすくんで動けなくなっていた。
逃げてもムダな事を私は知っていた。

「おい、早く!お前のツラは晒されてんだぞ?ネットを見た奴らがその辺にたくさん居るんじゃねーの?」

後ろから刺されそうな気配に怖くなって私は慌てて車に飛び乗った。