しばらくして、穂貴はゆっくりと床に倒れ、仰向けになった。

そして、独り言だか頼み事だかわかんないけど勝手に話し始めた。

『…もし雨峰に会うことがあったら…守ってやって…』

『俺に?あの黒いのと付き合えって?第一、大事な女が俺なんかにヤられちゃってもいいわけ?』

『…俺よりはマシだ。血の繋がりもないし…アズマは誰かを大切にしたがってる…』

『──お前がやればいいんだよ。まだ間に合う。救急車呼ぼうか?』

『…要らない。雨峰はさ…スゴく寂しがり屋なんだ…きっとお前を好きになる…

…雨…峰…』





穂貴はずっと床に置いた携帯の画面を見ていた。

『…なにを見てる?』

『…雨峰の携帯番号…俺の…大切な…』






──そして穂貴の意識はなくなった。

眠るように

穂貴の呼吸が止まってしまう前に俺は部屋から出ていった」






お兄ちゃんの携帯には、あたしのアドレスしか残ってなかった。

電波の繋がってなかった携帯。

だけど
何処かであたし達は繋がってると信じてたんだろうか…


「俺は穂貴に、お前の事を任されてたんだよ。だから一緒に行こう。俺が一生守るから」