──あたしの知らないお兄ちゃんの話し。

'全然違う'と思いながらも、アズマの話しを黙って聞くしかなかった。

そうだ。
あたしがずっと聞きたかった、お兄ちゃんの真実なんだから…






「『なぁ、アズマ!これはヤバいドラッグじゃないって言ってたよな?!佳依は俺を騙したのか?』

そう言って、穂貴の方が今にも死にそうな顔してたよ。

穂貴の客は、SweetPainを飲んで目の前で首をつって、あっという間に死んだんだって。

遺書だって用意されてたから自殺だって処理されてたけど
かなりショックだったみたいだな。

雨峰、アレがどうして願いが叶うドラッグだって言われてるか分かるか?」

「…わかんない…」

「死にたいのに死ぬ勇気もないヤツ、死にたいのになかなか死ねないヤツっているじゃん?

SweetPainを飲めば、その希望を本当にできるからだよ」

「…バカみたい!そんなのバカだよ!結局は逃げてるだけじゃないよ!」

「それを穂貴にも言えるか?」

「!」



「穂貴は自殺だよ。死にたくて、SweetPainを飲んだ。

俺に出来たのは、穂貴の願いを聞くことだけだったよ」