話す余裕もなく、とにかく逃げたかった私は雨峰ちゃんの部屋に行った。

初めて入った雨峰ちゃんの部屋…思ったよりもきちんと片付いていて綺麗な部屋だった。

「あ、ごめん。こっちの部屋には入らないで」

「うん」

一人暮らしのわりに広い部屋代だなって思ったけど、余計な詮索はしなかった。

リビングに腰を下ろして、周りを見回してると雨峰ちゃんが暖かいお茶を入れてくれた。

「やっぱ日本人は緑茶だねぇ~」

なんだかおばあちゃんっぽいセリフに少し笑いながらお茶を飲むと、妙にホッとした。

「ゴメンね、嫌じゃなければあたしのベッド使ってくれる?」

「雨峰ちゃんはどこで寝るの?」

「ここかなぁ」

「えっ、いいわよ!私がリビングで」

「ううん~レイナちゃんにはベッドでゆっくり休んでほしいの」

「でも…急に無理言って泊めてもらうのに」

「いいの。あたしを頼って来てくれた事が嬉しいから。しばらく泊まって休んでいくといいよ」

「うん…ありがと」



行くあてなんか他にない。

成田美夜が死んで、警察が動いている。多分、麻薬関係の捜査も一緒に動き始めたに違いない。

私…絶対にマークされてる…!