まるで知っていたかのような佳依の言葉にドキッとしながらも、オレは答えた。

「悪いかよ?痛くてずっとトイレに籠ってたんだ」

「あ、そ。薬飲んだのか?」

「ああ、もう大丈夫」

まさか彼女を家に連れ込んで愛し合ってたとは言えない。

佳依もそれで納得したようだった。

告別式が始まっても、隣の佳依は平然としていた。
親父よりも冷静に見える。

オレは…やっぱり複雑な思いで、祭壇に飾られてる見たこともないほど美人に映ってる母親の遺影を眺めていた。











2、3日実家で後片付けをして
オレは仕事の為に向こうに戻らなきゃならなかった。

今度はちゃんとレイナに飛行機の時間を教えて、オレを見送るようにお願いした。

素直に言わないと、遠距離はできないと思った。
ほんの少しの気持ちのズレが、距離に比例して大きくなっていく。

レイナも理解したのか、素直に空港まで送ってくれた。

搭乗手続きが始まっても、オレ達はなかなか離れられなかった。

繋いだ手をほどけないでいる。

「次は…透依にいつ会えるのかな…」

「連休が取れたら会いに来るよ」

「うん…待ってるね。私ね、もう少ししたら仕事辞めるから」