「もしもし」

『あ、青山?俺、俺~』

「中川さん…振り込めサギじゃないんですから名前言ってくださいよ」

『おお、悪い悪い。そっちはどぉだ~!?』

…酔ってるな。仕事中は冷静で落ち着いてる先輩も、酒には弱い。

そしてこのハイテンション…

何か嫌な予感がする。

とは言え、電話を切るわけにはいかず諦めてオレは返事をした。

「まだ分かんないですね。一週間だし」

『そっかー、イジメとかないか?イジメられたら兄さんに言うんだぞ~』

誰が兄さんだ。これはかなり酔ってる…

ハッキリ言って相手をしたくない状態の中川さんだ。

「ハイハイ。助けてって言いますから。じゃ、中川さんも気をつけて帰ってくださいね」

『おおい、待て待て!俺、今ドコに居ると思う~?』

「…駅ですか?それとも家ですか?」

『飲みに来てんだよ!今、隣にレイナが居るんだ!』

うわ、やっぱり。
だから何なんだよ?!

ちょっとイライラしながら、素っ気なく返事をする。

「あー、よかったですね。じゃ二人で楽しく飲んでてください」

『いや、だからさ~青山からも言ってくんない?』

「何をですか?」

『俺レイナとデートしたいんだよ~』