絶対に騙してる!アズマは嘘つきだもん。

何故か信じられなくて、ウソだと言ってほしかった。

「ねぇ、また騙してるんでしょお?」

「…悪いな、ホントなんだ。後でレイナに聞いてみろよ」

「…そ、う…そうなんだ…」

元カノ…知らなかった。レイナちゃんの元カレがアズマだなんて。

まだ信じられない…

「そんなに気になる?」

「えっ?!さ、さすがに…ねぇ?」

「過去の事なんてどうだっていいじゃん。別に二股ってんじゃないし

それとも何か?ヤキモチ?」

「バ…バカじゃん!?なんであたしがアズマにヤキモチなんか」

「俺の事、好きなんだろ」

突然アズマは車を停めて、あたしに無理矢理キスしてきた。

「えっ、ちょ…アズマ…!…んっ…!」

強引なキス。
彼の舌が絡みついて、なかなか離してくれないの。

アズマのキスは嫌いじゃない。

でも──…

「俺の女になれよ。大事にするぜ?」

「アズマ…でも…あたしには…」

お兄ちゃんがいる。
お兄ちゃんが好きなの…に

心が揺れるのはどうして?

「…穂貴はもう目覚めない。だから…」




   パシッ!!



あたしは思いきりアズマの頬を叩いた。