「あ、欲求不満なんだ?それならあたしなんかじゃなくて、風俗にでも行けばいいのに~」

アズマの様子と車の中の雰囲気が怖くて、あたしはごまかすように言った。

「誰でもいいってんじゃねーよ!雨峰を!ってさっきから言ってんじゃん」

「だから…なんであたしなの…」

'惚れた'とか'付き合ってる'とか…勝手に言っちゃうし…

「それ、分かってて聞いてんの?」

「…分かんないよ。なんでレイナちゃんにあんな風に言うのか…

レイナちゃんと知り合いなの?今まで何にも言わなかったよね?」

「…別にわざわざ言う事でもねーし」

「'わざわざ言う'事だよ!二人はどんな関係!?」

単にドラッグの売人と客じゃないって事は気づいた。かと言って友達じゃない。

でも、お互いをよく知っていそう。

「どんな関係なんだと思う?」

「あたしが聞いてんの!」

「…昔、レイナをレイプした。そういう関係」

「───嘘…っ」

アズマはチラッとあたしの驚く顔を見て、真顔で答えた。

「うん、嘘。信じてんじゃねーよ」

「また騙したの?!」

「お前ってホント単純だな。
レイナは前の彼女。これはホントだよ」



「嘘…」

…でしょ?