名前を言われても、オレはなかなか思い出せなかった。

うーん…

ダメだ。全然思い出せないけど…。

「あっ、うんうん!思い出した!礼奈ちゃんな」

「よかった!思い出してくれて!」

「あんまり話した事なかったよな?」

「うん。だからあたし影が薄かったかなーって心配しちゃった」

「ゴメンなー!オレだいぶ酔ってるみたいだ」

「ふふふ、そうね」

ああ…ゴメン
全然思い出せないから適当に言っちゃった。

まぁ、いいよな?

どうせここに来なきゃ会わないんだし。

って言うか…来るかどうかも怪しいし。

オレは彼女を思い出せない事を悟られないように、当たり障りのない話題ばかり出していた。

少しすると、レイナは別のテーブルで呼ばれた。

「あ、じゃあまたね」

「うん」

とりあえずホッとした。
レイナを指名して入ったわけじゃなかったから、オレ達のテーブルに来ても長くは着かないし。

それにしても…大学卒業してキャバ嬢やってるヤツもいるんだ…

就職できなかったのかな?

そしてレイナが話しかけてきた事にも驚いていた。

普通、こういう店で働いてるって知られたくないんじゃないかな?

平気な子なんだな。