「…えっ?な…なんで?」

心臓が止まるかと思った。

そんな事、考えてもいなかったから。

「だってオレの事はどーでもいいみたいじゃん…自分の都合の方が大事みたいだし」

「そんな──そんな風には思ってない…」

「どうだか。オレを愛してるなら、ついて来ると思うんだけどな…そうじゃないって事はさ

実は他に男がいるんじゃねーの?」

「…そんな事…浮気を疑うの…?」

心臓が痛い。肺も痛い。私の心の全てがズキズキする。

否定は出来ない、卑怯な私。
でも…私のココロは透依を一途に愛してるのに。

ポロポロと涙が溢れた。

だけど透依はそれを止めてはくれなかった。

「オレが浮気で、実は本命の彼氏がいるとか・な?
出会いも、言い寄ってくる男もたくさん居るだろ?なんたって店のナンバーワンキャバ嬢だもんな」

「止めてよ!私、透依の事が好きなの!他に誰も居ないわ!透依だけなのに…」

「だけど、一緒には来ないんだろ?
もういいよ…じゃあな」

『サヨナラ』の言葉をここに残すように、透依は帰っていった。

透依…行かないで
独りにしないで

愛してるのに


去ってゆく彼の背中が、いつまでも心に残って消えなかった。