結局、断ることも出来ないまま二人は帰ってしまった。

はぁ…

透依がどんな反応をするかって事がとても気になった。





──深夜になって
透依からメールが入った。

『起きてるなら電話したいんだけど』

断る理由もない。寝苦しい夜、いつもは透依の声を聞けば安心するのに…ちょっと怖かった。

ドキドキしながら透依に電話をする。

「もしもし、透依?私。起きてたわよ」

『あのさ…中川さんとデートするって聞いたんだけど?』

…怒ってる。
電話でも分かるくらいに声のトーンは低く、彼の感情は電波となって私の脳内に響く。

「う、うん…何かそういう話しになっちゃって、断れなくて」

『いくらでも断る理由なんてあるだろ!なんで他の男とデートの約束なんてする?!しかも相手が中川さんて』

「し、仕事の延長だと思ってよ。中川さんにはこれからも指名してほしいし、私の仕事的には必要な事だし…」

『仕事!?そんな仕事にやりがいなんてないだろ?!キャバなんて辞めろよ!』

'そんな仕事'

と言われた事に腹がたった。

そりゃあね、ドラッグを売る為にしてる仕事でもあるわよ!

でもそれなりにやりがいもあって頑張ってたのに!