美夜はオレの言ってる意味をよく理解していた。

元々頭のいい女だったし、勘も良かったし。

だからオレの言葉を泣きながら受け入れまいと抵抗していた。

「嫌…そんなの嫌…」

「もう金で解決するしかないだろ?こうなってしまったら、それがお互い一番いい結果だと思う」

「…手切れ金ってワケ…?」

「慰謝料だな。あと治療費かな。300万じゃ足りないか?」

「お金で清算するなんて、サイテーよ…」

「オレ、ずっとサイテーな事してるじゃん。そういう男なんだよ」

「酷いよ…酷い…どうして私がこんな事されなきゃならないのよ…」

美夜は布団を抱え、呟くようにオレを責めていた。

結局、責めたり責められたりの繰り返しだ。同じ事してるだけなんだ…

「じゃ明日また来るから」

そう言い残して、オレは病院を出た。

はぁ…自分でもサイテーだと思うよ。

人を傷つける自分が嫌だ。




夜空には明るいけど細く繊細な三日月が登っていた。

それをデジカメで撮って久々にブログにUPした。



『キミの細く壊れそうな心を、僕は支えてやれない。

ゴメンな』





翌日、美夜は会うのを拒んだ為、オレは金を置いて立ち去った。