【透依's time】







オレは一日中、考え事をしていた。

もちろん仕事していたけどぼんやりする事が多かった。きっと中川さんにも気づかれただろう。

そして、ひたすら仕事が終わる時間が怖かった。

イライラを解消したくて倍くらいの本数のタバコを吸い、缶コーヒーを何本も飲んだ。

仕事はちっともはかどらない。

「青山、帰らないのか?」

「ん、ああ…帰るよ」

周りの同僚に声をかけられて重い腰を上げた。

憂鬱なのは自分のせいだ。気が重いのも、自分のせいだ…

会社を出た所で美夜からメールが入った。

『今日は来るんでしょ?待ってるね』

──いつもと変わらない彼女からのメールに心が痛んだ。

メールを返せずに、オレは美夜の家に向かった。

昼間と変わらず…いや、むしろかなり足は重くなってる。

このまま逃げたかったってのが本音。

玄関の前に立ってもため息ばかりが漏れた。

ハァ…
いつまでもこうしていたって何も終わらないんだ。

何度か深呼吸をして、オレは呼び鈴を押した。

ドアが開いて、何も知らない美夜が笑顔で出迎えてくれた。

「遅かったね~メールこないから心配しちゃった」