『・・・俺も好き。』
「・・・・・・・」
何も言わない私に不思議に思ったのか、今度は健が私の顔を覗いてきた。
私の顔は、さっきの彼以上に赤いだろう。
そう思い、
私は咄嗟に自分の顔を手で隠そうとしたが、その手は健によって、阻まれてしまった。
『こっち向けー』
『おーい??紗菜ー??』
『聴いてんか??』
なかなか自分の方を見ようとしない私に、困り果てた様子で、何回も私の名前を呼び続けた。
『紗菜ー??』
『紗菜。』
『紗菜。』
「・・・っ」
『やっと見た。』
そう嬉しそうに笑顔で言う健に私もつられて、笑いを零した。