「絢…」

俺は夢の恐怖が消えきらず、思わず絢に抱きつく。

絢は笑いながら俺の背中をポンポンと軽く叩いて

「どうした、どうした」とまるで小さな子供をあやすように言った。


「………よかった…」

「ん?」と絢の笑顔。

「お前が居てよかったよ…」俺は心からそうつぶやく。

「………………」

絢が何も言わない。
どうしたんだろうと思ってそっと絢から離れ、顔を覗きこむ。


「……絢……………泣いてる?」俺はびっくりした。絢が両手で顔に覆って、泣いていたのだ。