紫苑を目にして花音の目が潤み始めた。


「どうしてここに・・・?」


紫苑さんがここにいるのならカイトさんもこのどこかに・・・・。



淡い期待を抱いてしまう。



花音はキョロキョロと辺りを見回した。



「・・・おじい様の代理で来たんだ 花音ちゃんのおじい様と親しい仲だったらしい」



「そうだったんですか・・・」


花音は落胆した。



「パーティーへ来て花音ちゃんがいたので驚いたよ 君がクレール伯爵の娘だったとはね」


紫苑は花音の顔を見つめた。


以前会った時の幸せそうな笑顔はなかった。


ダンスをしている花音をずっと目で追っていたが幸せそうには見えない。