「今日の夜がどうしたの?」


電話を切ったカイトに小夜子は聞いた。



袖を少しまくり時計を見る。



「花音ちゃんがフランスへ」



「カイト、早く行って!今行けば間に合うわ!引き止めて!」



小夜子の言葉が耳に入らないのか呆然としたままだ。



「カイトっ!」



まだ手に持ったままの携帯を小夜子は奪うと開いて花音の電話番号を探した。



「小夜子!やめろ!」



「なんでよ!花音ちゃんが行っちゃうわ!」



―― 一度はこの手で自ら手放した愛しい子・・・もう一度君を捉まえるチャンスはあるのか・・・?