「ごめんなさい 謝っても済まされないかもしれないけど・・・カイトは花音ちゃんの事を愛しているんでしょ?」


もう一度席に着いた小夜子は言った。


――小夜子の嘘は人間として吐いてはならないことだ。だが、その嘘を吐かせてしまったのは俺のせいだ。日本へ帰ってきた小夜子に冷たくしなければあんな嘘は思いつかなかったかもしれない・・・。


コーヒーを飲もうとカップに手を伸ばすと中は空だった。


カイトは手を上げてウェイトレスを呼ぶとコーヒーを頼んだ。


「カイト、プロポーズしてくれた時はすごく嬉しかった でも罪悪感の方が大きくなって喜べなかった」


「・・・小夜子、流産した事は嘘だと知って嬉しいと思った。それはお前と別れて花音ちゃんともう一度やりなおす、という事でなく流産した事で身体を傷つけていなかったからだ ・・・もう花音ちゃんとは今となってはやり直せない 小夜子が良ければ結婚しよう」