花音は「SION」へ行こうか迷っていた。


――やっぱり行こう。


花音はこの前、アランに買ってもらった深緑色のワンピースを選んだ。



母は先ほどアランと夕食に出かけた。



一緒に行こうと誘われたが断ったのだ。






「あら、花音ちゃん!」


エレベーターを降りてエントランスを歩いていると名前を呼ばれた。



「はるかさん」


「おしゃれしてどこへ行くのかしら?」


羨ましそうに言う。



「はるかさん、ママに用が?」


「・・・いいえ」



はるかは首を横に振った。