花音はフランスへ行く前にカイトに会いたかった。


顔を見てちゃんと「さようなら」を言いたい。



ちゃんと言わなかったらフランスへ言ってもずっと心はカイトを思ってしまいそうだから。



――でも・・・そんなのは言い訳・・・だよね・・・会いたい気持ちを抑えられない・・。




着々と家の中が片付けられていくのを見て戸惑いと焦る気持ちが交差する。






「花音、だいぶ片付いたわね」


母が開いていたドアから顔を見せる。


「えっ?う、うん」


ぼんやりと考え事をしていた花音は慌てて本をダンボールに詰めていた手を動かす。



「手伝う?」


「ううん 大丈夫 ママはまだやる事がたくさんあるでしょ?」


「アランが業者を頼んでくれたからそんなにやる事はないわ」



幸せそうな母の笑顔に嫉妬すら感じてしまう花音だった。