「カイト?」


小夜子に呼ばれてハッと我に返った。


「カイト?どうしたの?」


「ごめん 考え事をしていたよ」



車から降りた2人は海へと突き出た堤防の上を歩いていた。



まだ冬のせいで辺りには釣りを楽しむ男性2人組みしかいない。




「カイト、連れて来てくれてありがとう 誘ってくれて嬉しかった でも・・・花音ちゃんに悪い気もする・・・」


「・・・花音ちゃんとは別れたよ」


風がひゅうひゅうと吹いているのに小夜子の耳にカイトの声がはっきり聞こえた。



小夜子の願望だったからだろうか。



小夜子は耳を疑った。



「別れた?」