「小夜子を傷つけたまま最低な奴になりたくない」


「えっ?」


――それって・・・?


「少し時間をくれないか?」


「時間・・・?」


小夜子はあっけに取られた。


「ああ」



――ごめん、花音ちゃん・・・俺は小夜子と・・・・。



小夜子が目の前に居るのに花音の事を考えてしまう。




シーンと静まり返った事務所にメールの着信音が響いた。


カイトは立ち上がって、仕事机の上に置いてあった携帯電話を手にした。