「落ち着いて聞いて欲しいの これからの貴方の人生に左右されることだから」


――私の人生が左右される?



「・・・・アランと会ったのは花音を身ごもる半年前だった 貿易の仕事で日本に来ていて私はアレンの取引先の会社で秘書をしていたの お互いに好意を抱くのに時間はかからなかった でも彼には婚約者がいたの 政略結婚で仕方なく」



「政略結婚?」



花音は聞きなれない言葉を口にした。



「ええ 彼のお父様は・・・フランスの伯爵なの 家を守る為に大富豪の娘と結婚をしなくてはならなかった。お城は維持費がかかるから」



「フランスの伯爵って・・・!?」



夢の世界の話にしか思えない。



「とにかく私とは結婚が出来なかったの フランスに帰る日が決まって・・・私は花音を妊娠した事を知らせずに別れたわ だからアランは貴方の事を知らなかった 知ったのは・・・貴方が小学生になってからよ それまでは彼とは連絡を途絶えていたから」