* * * * * *




「カイトさん、ここでいいです」


マンションのエントランスに車が停まると花音は言った。



「いや、部屋まで送るよ」







玄関の前でインターホンを押すとすぐに母が出てきた。


「花音!」


出てくるなり花音に抱きつく。


「何も持たないで飛び出すだなんて・・・心配したのよ」


抱きしめてから娘の顔を良く見ようと顔を見た。


見れば娘は仕立ての良いカシミアのコートを着ていて隣に見目麗しい青年が立っているのに気づいた。



「まあ・・・貴方がカイトさんね?」


「はい 平山 魁人です」