2人は仕切りのある奥まったテーブルの席に座った。



周りにはコーヒーを飲んで読書をしている中年のサラリーマンしかいない。



花音は喉が渇いて熱いコーヒーを一口飲んでから目の前のポテトに手を伸ばす。



「さっきの話の続きだけど・・・」



「うん」


今度はチキンナゲットに手にして口に運んでいる。



「一緒に行ってくれない?」



「里衣子っ!正気?あたしたちはまだ高校生だよ?ホストクラブって言ったらお酒を飲む所だよ?」



意外と真面目な花音に里衣子がため息を吐く。



花音の母親は銀座のクラブのママなのだ。



この事を知っているのは花音の周りで数人ほど。



「だって雑誌で彼を見てさ~ 一度で良いから会ってみたいんだもん」


「彼?」


「彼」と聞いて初めて花音の手が止まった。