「先生」


花音はにっこり笑った。


「お正月なのに寂しいですね?」


「お正月なのにお仕事、大変ですね?」


茶目っ気たっぷりに言う花音に医師が笑う。



「そうですね 患者はお正月でも待ってくれませんから」



待っていたエレベーターが開いた。



「先生 母をよろしくお願いします」


頭を下げて乗り込んだ。



結果、医師が花音を見送る形になってエレベーターは閉まった。



――どうして呼び止めたんだろう・・・?重要な話があった訳ではないのに。



花音は肩をすくめるとエレベーターは1階に着いた。