お店の裏口から出た花音は路地(ろじ)を横切り大通りに向かった。



路地は薄暗くて少し怖い。



自然と花音は足早になっていた。



それと足早になる理由がもう一つある。



カイトに早く会いたいと思う気持ち。



それでも大通りに出れば明るいし、人通りもあって安心する。



が、今日はそうは行かなかった。



大通りに出てタクシーを捕まえようと駅に向かうと、2人組みの黒いスーツを着たホストらしい青年が近づいてきた。



「やあ、君 1人みたいだね?」


目の前に立たれて花音の足が止まる。