「香帆さん どうしたんですか?」


『カイトさんってば冷た~い まるで今降っている雪みたい』



出たカイトの声が冷たく感じて香帆はわざと明るく振舞った。



花音は聞き耳を立てなくても聞こえてしまった名前を聞いて、膨らんだ風船に穴があいてしぼんでいくみたいな気持ちになった。



花音はソファーの上で膝を抱えて膝頭に頭を乗せた。



――そうだ・・・これから病院に寄ってからお店に出なきゃ・・・。カイトさんだって仕事に出なくてはならないはず。



顔を伏せたまま溜息が漏れる。



カイトは香帆の話を聞いていると花音が顔を伏せたのが目に入った。



『カイトさんっ 聞いている?』



「え?はい 今日もご友人たちといらしゃるんでしたよね」



『なんか、カイトさん すっごく他人行儀~ 誰かそこにいるの?』



すねた声の香帆。