「花音ちゃん?」



カイトの手が花音の頬に触れる。



「あ、あたしコーヒー入れます」


花音は立ち上がった。



正直、コーヒーのにおいを嗅いだだけでもどしてしまいそうだったが、カイトと2人だけに戸惑う花音はそう言っていた。



カイトも立ち上がる。



カイトの前を通った時、腕を優しく捕まれ背後から抱きしめられた。



「カ、カイトさんっ!」



あまりの突然の出来事に花音は驚きその場に硬直した。



「花音ちゃん」


「は、はいっ?」



カイトのちょっと低い声が耳元でくすぐる。