あかり「観覧車って不思議だよね。」

貴志「うん?」

あかり「さっきもあんなにおっきく見えて。ほら、車とか電車の窓から見ても、遊園地の観覧車って目立つでしょ?」

貴志「まぁ、シンボルみたいなもんだからな〜。」

あかり「それだけでも大きいのに、実際に近づいたらもっと大きい。でもさ、わたしたちが乗ってるのってほんの小さい部分なんだよ。狭いって感じるくらい。」

貴志「ああ〜、確かに。そしたら、もったいねぇなぁ。」

あかり「でも、そのかわりゆっくり、ゆっくり動いていくし、だんだん景色が変わっていくのを眺められる。」

貴志「お前、そういうの好きだな。人やものが小さくなっていくの。」

あかり「うん。そうかも。こういうところのほうが、ちゃんと周りを見れる気がする。」

貴志「あ。」

あかり「何?」

貴志「俺も不思議見つけたぜ。」

あかり「へぇ〜、どんなの?」

貴志「乗り物の中でず〜っと動いてるのって、観覧車だけじゃね?」

あかり「あ、ホントだ!」

貴志「他の乗り物は、乗る時と降りる時、止まるのにな。観覧車だけ、ずっと動いてる。」

あかり「うん、うん。」

貴志「あとさ〜…」

あかり「あ、もしかしてさ〜、もうすぐ頂上じゃない?」

貴志「うん?お〜、そうだ。」