後ろを振り向くと、そこには。

涼がいた。

「宮比!!大丈夫!?」

「すっごい音したけど・・・」

華と司も来ていたみたい、華はすぐさま私の元へと走ってきた。
どうしよう、涼が来てくれた。

涼が来てくれた。

心臓が破裂しそうなんですけど。

「どうしたの!?」

「(涙が出そう)え、えとちょっと私が投げて・・・」

「投げた!?!?」

私は焦った表情で立っている涼を盗み見した。
美土里さんと話している。

ヤバいよ、なんか分かんないけど涙出そう。



涼に抱きしめてもらいたい。



「母さん、どうしたの」

「涼、ここでは『女将』だって何回言わせるのよ」

涼が私のところまで歩いてくる。
駄目、心臓が保たない。

目頭が熱い。

「・・・(どうしたんだろう私)」

もうすぐ涼は、私の隣を通る。

「(すれ違うだけで・・・こ、こんな高鳴るなんて)」

でも、私の目の前でありえない事が起きたんだ。





「宮比、大丈夫だった?」





「ぇっ・・・(ああ、死んじゃうかも)」

涼は私の背中に手を回し、優しく頭をなでてくれた。
そして私は、嬉しすぎて息が出来なかった。



私を真っ赤にさせるのは涼、アンタだけだよ。



「涼・・・!」

「落ち着いて、泣いて良いよ」



ギュッ



「(どうしよう、どうしよう、どうしよう)」

願い、叶っちゃった。