胸ぐらつかまれ逃げ場もない私。
周りからはお手伝いさん達の叫び声。

『きゃあああぁぁっ!!!』

津田が手を振るい、私めがけてひっぱたこうとした。

『このアマが・・・っ!』

私は驚きのあまり、頭が真っ白で。

気付いた時には遅かった。


 LOVE IDIOT
  君の影


「・・・ふざけるなよ・・・」

デッパ秘書(津田と言うらしい)はゆっくりと立ち上がった。
なんだか震えている。

「・・・津田さま?」

「(どうし―――――)」



グシャッ



「俺の・・・俺の名誉を汚しやがって!!!!」


「(!?)」

津田は顔を真っ赤にし、手にはぶっとい血管を浮かび出していた。
なんだかご立腹らしい。

「俺はなぁ・・・この会社に入って10年間、岡野社長についてきたんだ!!そしてやっと手に入れた名誉を・・・たかが女子中高生のセクハラで契約破棄だと!?笑わせるなっ!!!!」



ガッシャンッ!!!



「きゃあああぁあ!!!」

急に賑やかだった大広間が一気に凍り付く。
私の後ろでお酌していた女の人達は叫び声をあげた。

京さんは、私を離す。

「お客様、どうかお静まり下さい」

「うるせぇぇええっ!!!」

「きゃっ・・・(!?!?)」




グイッ




「お前さえいなければっ!!!」

「ちょっ!?!?」

私は津田に胸ぐらを思いっきり掴まれた。
心臓が止まりそうなほど、本気で恐怖を思い知った。



「このアマっ・・・!!!」



ヤバい、殴られる。