そろそろ花火も終盤の予感。
空気は濃くて、静かだった。


・・・結婚か。


ヒュルルルゥ・・・

「(京さんと、私が?)」

10も違うのに?
しかも、涼のお兄さんで。

・・・婚約。

「(あー、駄目だ。考えられない)」

「宮比ちゃん」

「お、あ、はい!?」

急に話しかけられた私は心臓がドクンと跳ね上がった。
凄く、びっくり。

「花火、もうすぐだよ」

「えっ」

さっき京さんが見つけた星は、もう消えていて。

「(・・・)」





ドドーンッ!!





涼への想いも、いつの間にやら消えていた。
なんか私、狭いな。

「わー・・・」

「綺麗だったなー」

「ですねー」

本当、赤に青に黄色に他の違う色が上手く混ざっていて。
まるで、散っていく桜の様だった。

あ、今の私ロマンチック。

「・・・帰りましょうか」

「そーだね」


ギュッ


「(え)!」

私が立つと、ふいに右手に暖かい感触があった。
時間は、戻れない。

「手、繋いで良いよね?」

「(う、ぅわ)」

瞳は花火で輝いていて。
潤った唇は、私の心をキュンとさせた。


『婚約』


「(じゃあ、佐山さんが俗に言う・・・姑に!?)・・・」

私にそんな決心、つくのだろうか。