僕の向こう。

かすかに宮比が見えた気がした。

天気予報はこういう時に当たっていて、

なぜかやる気を失せる。

少ない理由で、少ない確率だけど。

僕は出来る限りの事をやってみる。

安全じゃなくても、たとえこの命が消えそうになっても。

僕は守り抜くつもりだから。


 LOVE IDIOT
  僕と俺


ぎゅ


「・・・」

抱きしめられながら、ふと思った。



『この瞬間に涼が来たら、一体どうなるのだろう』



とか、



『みんなで花火、見たいのに』



とか。

そして、一番思ったこと。





『・・・どうして、京さんは私を抱きしめてるの?』





だって、私は本当の願いで京さんに頼んだわけでもないし。
その事を、絶対京さんだって気付いてるはず。

それを、受け止めた強さって。

一体、どういうもの?

「・・・京さん、花火が」







「今は・・・花火より、宮比を見てたい」







「・・・」

こんな、人生最初で最後のキザな台詞は言われたことはないけど。
涼の方が、上手く言えたと私は思う。

というか、花火の方を選んでくれたと思う。

「(私はどうしたらいいのだろうか)」

ああ、涼に嫌われてもいい。
だから、この場に来てほしかった。

どんな最悪な状況でも、涼と一緒に分かち合いたかった。

そうだよ、涼は私の最高の。



「・・・(幼馴染?)」



・・・かもしれない。