「き、着ません。てか着れません!!」

「えー、駄目ぇ?」

「駄目!!絶対っ!!」

「じゃあ・・・コレは?」

最後に美土里さんが取り出したのは・・・普通で、庶民で、ちゃんとした浴衣。
しかも柄が可愛い。

珍しい白の生地に赤い鯉が泳いでる絵。

うん、素晴らしいです。

「完璧!最高!あ、もうマジこれでオーケーです!どうも!!(泣)」

「ホント?じゃあ涼ぼっちゃんは・・・」

「僕これで良いから」

「えー、涼ぼっちゃんもこんな地味なの・・・?」

「普通ですから」

涼が選んだのは黒の無地の浴衣。
帯は紺色、シックで男らしい。

いーなー、私もそれにしたかったなぁ。

でも、また男前って言われるかなぁ・・・

「(ま、いっか)」

は、華の浴衣はというと・・・

「す、凄い・・・!!」

「そうかな?」

真っ赤な浴衣でそこらじゅうに花びらが散りばめられている絵。
綺麗・・・なんだけど、めっちゃ目がチカチカする。

「(い、痛い)」

「さっ、浴衣も決まったことだし!次はセットアップよ!!」

「セットアップ?」


 * * * 



「みーどーりーさぁーん・・・(泣)」



美土里さんがどうしてもと、ヘアーメイクを何時間もかけてする事に。
只今、それに巻き込まれ中。



足がしびれてきました。



「まだぁ・・・?」

「ここがちょっとズレてる気が・・・やり直し!!」

「(またっ!?!?)」



  *二時間後*  



「で、出来た・・・!!!」

「キレーイ!!」

「(疲れた・・・)」