甘えた声、眠たそうな目、反射する髪、潤った唇。

僕は、それを美しいと思った。

「(宮比・・・)」

「・・・涼・・・」



ぎゅ



「!」

「ん・・・」

み、宮比。
僕は枕じゃないよ。

こんな大きな枕、僕だって見た事ないんだけど。

「・・・」

「すー・・・」

宮比は僕に抱きついたまま寝てしまった。
・・・駄目だ、ちょっと理性が危ない。

「(可愛い)」

宮比の寝顔を見るのは久しぶりで。
正直、少し焦った。

あまりにも、成長していたから。

いつの間にこんな可愛くなった?
いつの間にこんな髪が伸びた?

もう、僕には届きそうになくて。

「(嫌だ)」

駄目だ、宮比が僕から離れるなんて。



―――――僕が保たない。



「宮比・・・」

「・・・」

ほら、聞こえていない。

どうしたら、永遠につなぎ止められる?
未来は変えられる?

僕にそんな力があるのだろうか。





ぎゅ・・・





「(消えるな)」

今度は僕から抱きしめてやろう。
今度は僕からつなぎ止めてやろう。

だから、だから、だから。

宮比、君は僕の前から姿をなくさないで。
君は、僕の世界。

僕の、愛しい。



―――――幼馴染み、なのだから。