校門は大勢の人で溢れかえっていた。
入ることもままならなくて、しょうがなく私達は裏庭から入ることにした。

「どんだけ人!?」

「げ、劇見る人ってヤバいんじゃない・・・?」

「相当、多いってこと!?」

「き、緊張してきた・・・」

華は窓を開けて、私達は学校に侵入成功した。





「佐山の次、池之宮!その次が早瀬!」

「大橋!!ここに置いといた画材どこにしまったー!?」

「早苗ー!私の携帯はー?」

相変わらず、文化祭当日だっていうのにこの忙しさ。
なんでうちら劇することになったんだろう・・・





「『王子』ー、僕のガラスの靴どこか知らない?」

「あ、これ?」

「サンキュ」

ナチュラルに私、『王子』と呼ばれています。
15歳、王子かぁ・・・



・・・悪くはないかも・・・ね(えへ)。



「みなさん!今日はありえないほどの人が来ています、劇のお客さんも相当な数です!」

「(藤堂さん!)」

「役者の方々、スタッフの方々、緊張せずに観客はカボチャだと思って演じて下さい」

教室が藤堂さんのアドバイスにドッと笑う。

「本番、五分前!みなさん頑張って行きましょー!!」



『おぉーッ!!!』


大丈夫、きっと上手くやれる!
頑張れるよ!!


 * * * 


薄暗いライト、ナレーターが照らされる。



『昔々、ある所にシンデレラという少女がおりました―――・・・』



「(涼、頑張って!)」

「(いってくる)」

スタンバってる役者達、小汚い衣装を着た涼がステージに出た。
よし、観客のリアクションも上々!



『すると突然、王子がシンデレラの元へやってきました』



「(宮比!)」

「(いってきます!!)」

とうとう私の出番が回ってきた。
ぅ、うはぁ〜・・・!

心臓がまともじゃないよっ!!

『ひ、姫っ』

『お、王子・・・どうして?』

『一曲・・・私と踊っていただけませんか?』

『わ、私なんかと?』

涼、圧倒的に上手い!
ま、負けてられないなっ!