響くのは私の足音だけ。

私を呼ぶ涼。

ずっと側にいたいよ。

でも、正直にいられない。

「(好き過ぎなんだ・・・!!)」





好き過ぎたんだ。





守るつもりが宮比を傷つけてたなんて。

今更、夏のことで言い訳しようなんて。

遅過ぎる。

僕はもう一度、宮比を呼ぼうとした。

けど。

宮比の後ろ姿があまりにも小さくて。

小刻みに震えていたのが分かった途端。





勇気がなくなってしまったんだ。





「もしもし池之宮さんっ!?」

『もしもーし藤堂さん・・・なんでこんな夜中に電話してく―――』

「佐山さんの聞きましたか!?」

『はい・・・?』

「聞いてないんですか!?宮比ちゃんのことフったって!!!」



「えっ・・・!?」



 * * * 


翌日。

学校は私と涼のことで持ち上がっていた。



「佐山先輩ってやっぱり宮比さんと付き合ってたんだ!?」

「アイツって絶対タラシだよな!!確か彼女10人はいたって!!」

「ていうか早瀬さんって良い人だと思ってたのに・・・」

「騙される方も悪いってこった!!!」

「言えてるー!!」

嘘の噂ばかりが私を包んだ。
逃げ場もなくて、自分の居場所がどこだかすら分からない。

耳を塞ぎたかった。



「いい加減にしなよっ!!!」



華。

「あんた達、そんな噂だけで物事決めつけるの!?」

「そうです。私もなっとくいきません」

藤堂さん。