「帰るよ宮比」



知ってる。



この声。
この緊張感。
このにおい。

全部。

「っ・・・」





―――――涼のものだ・・・





「ちょっ・・・」

ドキドキが止まらない。
斉藤さんより。

手が震えて、足も震えて。

「待たない」

そうやって強引に私の腕を引っ張る。

どんどん斉藤さんが見えなくなってく。

「僕がどれだけ待ったか」

「で、でも涼。斉藤さんがっ」

「斉藤なんて、どうでもいい」



ドキッ



なんで今のとこで高鳴ったんだろう。
涼は私をどこへ連れてくつもりなんだろう。

「涼なんで・・・っ」

なんで、ここに。

「・・・なんで?」



くるっ



「聞きたい?」

「えっ・・・」

涼は私を近づけた。







「宮比が好きだからだよ」







「っ・・・!」

涼。

待ってたよ。
涙が出てきそうなぐらい待ってた。

私も本当の気持ちが言いたい。



・・・けど。