「ち、ちょっとそれって・・・!?」

私はあまりにもパニくりすぎてて、気が動転していた。
え、なに、何が起きてるの?







『佐山先輩と夏先輩が付き合ってるって!!』







「そ、そんなぁ・・・!(ガタッ)」

私はショックで床に座り込んだ。

り、涼がそんな事・・・!!
この十四年間、いやもうすぐ十五年間。



君をずっと、見てきたっていうのに。



「宮比っ!!起きて!立ってよ!!!!」

通り抜ける華の声。
恐怖に打ち勝てない私。

無駄に震える手。

「(涼・・・涼・・・!!)」

「み、宮比ってば!!!」



そんなのって。



 * * * 


「ねー涼、今度この映画見たい。おごって!」

「嫌ですよ。ていうかなんで先輩がうちのクラスにいるんですか」

「えー、なんか暇だったからー」

「もうすぐチャイムなります、帰って下さい」

「ヒドッ!なんか今日の涼冷たいっ!?」

「いつものことじゃないっすか」

「何言ってんのっ!!いつもはもっと、こう・・・私を包むっつーか・・・乙女心をくすぶるっつーか!?」

「まず先輩に乙女心はないでしょう」

「な、なんだとっ!?」

あー・・・宮比に会いたい。
凄く、心の底から会いたい。

ていうか、ここ三日間は会ってない気がする。
いや、そんなことはないか。

あー・・・一日も会ってないと五年ぐらい会ってない感じがする。


「(宮比)」


僕の頭は宮比でいっぱいなんだって、今更痛感しても。
やっぱり、遅すぎたのかな。

「ねーおごってよー」

「嫌です」



僕は君にふさわしくないのかい?



「分かった。私の部長の座を譲から!ねっ!?おごって!」

「どーせ後になって嘘とか言うんでしょ、嫌ですよ」

「おーねーがーいー!!」





また君を、奪ってもいいのかな。