涼が待っている。
涼が待っている。
涼が待っている。

・・・かと思っていたのは私だけみたいで。

先輩。

私はズルいんですか?
これは特別っていうんですか?

なにも考えずに日々を過ごしていた。

「宮比」

今までの仇が、返ってきた。

「・・・涼―――――」

もう、言っても良いよね。


 LOVE IDIOT
  ずる賢さ


ガラッ!!


「遅れましたっ!!」

思いっきり遅刻した私は、教室のドアを勢い良く開く。
先生は呆然と立ち尽くしていた。

「は、早瀬っ・・・?」

「すいません、ちょっと朝調子悪くて!」

「ぉ、おう・・・まぁ、座れ」

「うすっ!!」


シャキシャキ
シャキシャキ


私は威勢良く歩く。
大半の女子は私に釘付けだ(私もやる時はやるんです)。


ガタン


「(遅かったじゃん宮比!)」

「(うん、ごめん)」

「(どしたの?)」

「(ちょっとね)」

今日は確か陸上部あったよね。
私は手のひらに『陸上部』と油性ペンで大きく書いた。


「じゃあ・・・ページ43!」


「(よしっ!)」

今日はちょっと頑張っちゃおうかな!!


 * * * 


「(おい佐山)」

「(・・・)」

「(佐山!)」

「(・・・何)」

「(き、昨日の宿題提出・・・)」

「(もう提出したから)」

「(ぁ、あそうっすか・・・)」



斉藤、斉藤、斉藤。



なんだよ昨日から斉藤って。
そんなに気になるわけ?

「(ムカムカムカムカ)」



今日は部活サボる、絶対に。



 * * * 


「あ、早瀬さん!」

「え?」

パタパタと可愛い足音をさせて走ってくるのは・・・



「斉藤さん?」



「こ、これ、俺の分も!今日が提出日なんでしたよねっ!?」

「え、うん」

斉藤さんはノートを私が持っているノートの山に置いた。

こ、これでまた重さがひとつ・・・

「あ、やっぱ持ちます!て、ていうか手伝います!!」