鬱ら鬱らとしている涼は唐突に言い出す、キス宣言。
私は全く意味が分からなくて、そんなに相手にしなかった。

「ぃ、いいから涼とにかくこの薬飲んでっ」

私は薬を三錠取り出す。

「はい、起きて涼」

「ぅーん・・・」

「大丈夫?飲める?」

「・・・飲める・・・」

「よし、じゃあ頑張って起きよう」

「ん・・・」

と、言う涼だけどあまり上手く起きられていない。
そんなに辛いのだろうか。

「飲まないと治らないよ涼」

「ハァ・・・ハァ・・・ぉ、置いといて・・・」

「・・・(・・・飲まないのか)」

・・・こんな涼、初めて見る。
凄く息づかいが荒くて、汗が沢山出ていて。

・・・あの時みたい。



『宮比っ・・・!』

『涼・・・!?』



ふと昨日、森の中での涼を思い出す。

「(ぃ・・・今はそれどころじゃないんだった)」

よし、決めた。
涼の熱が下がるまで学校休んででも看病しよう。

森での恩返しだ。

「・・・涼、お腹空いた?」

「・・・うん・・・」

「お粥食べようか、私作ってあげる。大丈夫、涼はその間ゆっくりしててね」

「・・・」

こっちを向く涼。
目が半分しか開いていない(まぁ、元々目は細かったけど)。

・・・絶対治してあげるからね、涼。

「よしっ(作るか)」

さっそく私は座っていたベッドから立ち上がって―――――。



「待って宮比・・・」



「えっ?」

少しだけど、少しの力だけど。
熱で苦しそうな涼は私のスカートの裾を掴んだ。
顔がピンクに火照っている。

「どうしたの涼?」

いつもなら叩いて手を払う私だけど、今日は大人しく涼の言いなりになろうと思った。
・・・普段の私ならありえないけど。

すると涼は、



「ほ、本当に・・・宮比だよね・・・?」



「へ?(涼?)」

変な事を言い出す涼。
私は自分に指を指した。

「み、宮比ですけども・・・(汗)」