「ぇ、兄貴も来るの・・・?」

「当たり前じゃねーか、なに言ってんのお前!?」

そこには怒りと心配と不安で目を光らせている兄貴がいた。
僕はそんな兄貴に、なぜか分からないけど、苛ついた。

一歩、森へと足を踏み込む。



ガッ



「?」

「涼」

「なに、急ぐんじゃないの?」

兄貴は僕の肩に手を置く。
今はそれどころじゃないんでしょ?

すると、急に兄貴は僕をさらに苛立たせる事を持ちかけてきた。





「・・・一番に宮比ちゃんを見つけ出した方が、勝ちってことで」





「はっ!?」

さすがの僕もこれには驚いた。

僕は勢い良く兄貴の手を払いのける。
こんな非常時になに言ってるんだ、僕は怒りをぶつける。

「・・・お前、なに言ってるの」

たった今、宮比は怯えて僕達の助けを待ってるんだ。

「なにって・・・勝負?」

こんな暗闇の中、ずっと、思ってくれてる。

「・・・勝負、ね」

勝手に僕の大切な幼馴染にキス仕掛けておいて、この上婚約?

「乗る?俺、負ける気しないけど」





・・・図に乗るのもいい加減にしろ。





「・・・いいよ」

「え?」

「僕に勝負仕掛けるなんて良い度胸してるよね」

「ちょ、涼・・・(り、涼・・・?)」

ナメるな。







「―――――僕に勝つなんて、一万光年早いよ」







宮比、待ってて。