「ぜ、全部見てた・・・!?(一体どういう・・・?!)」

「宮比とキスしてたところも、宮比を抱きしめていたところも、宮比と手つないでたところも」

僕は、あの時の全てを。



目撃している。



「じ、じゃあ・・・お前・・・告白してるところも・・・!!」

「今の話聞いてた?ぜーんぶ、見物させてもらったよ」

「う・・・!!!///」

「(今更照れるところなのか?)」

僕はさらっと話を変え、兄貴と宮比のありえない婚約のことに進めた。
正直、こんな馬鹿馬鹿しい話を口に出すだけでも苛立つんだけどね。

「・・・本気なの?」

「な、なにが・・・」

「だから、宮比との婚約」

「・・・」

「言っとくけど、僕は宮比を愛してるよ」

「それは・・・痛いほど知ってる」

「(痛いほど?)今、自分がいくつだか分かってるの?」

「・・・24歳」

「もうすぐ25でしょ」

「・・・(ブクブクブク)」

「恋愛には歳なんて関係ないなんて言ってるけど、人生そうもいかないんだよ」

「お前に言われたくない・・・」

「だまれ」

なにこの会話、あきれる。

僕は諦めて温泉からとうとう出る。
だけどまだ兄貴は諦めず言い続ける。

「・・・だけど」

「・・・?」



「宮比ちゃんを好きな気持ちは、相手がお前だとしても、一番だと思う」



「・・・」

「それだけは、言っとく」

「・・・はぁ」

「!??!(ため息!?)」

ほとほと思うけど、僕の兄貴って。
本当に馬鹿なんじゃないの?

「・・・兄貴」

「ん」





「―――――宮比は譲る気ないから」