外は夕焼けで、それがなんとなく宮比を思い浮かばさせた。
なんだろう。


すごく、ムカつく。


「・・・(グツグツグツグツ)」

「煮えたぎってるな涼、どーした」

「(元はと言えばお前のせいだっつーのに・・・)」

僕はなにも言わずに温泉から出ようとした。

「おい待てよ」

「・・・」

「話は?」

「・・・兄貴から話せば」

「・・・」

だから嫌なんだよ、兄貴と二人きりは。



「嫌だ」



「・・・は」

「涼から話せよ」

「(何この人)なんで僕からじゃないといけないわけ?」

「なんで俺から話さないといけないわけ?」



「「・・・!!!(怒)」」



駄目だ、兄貴見てるとモヤモヤする。
早く出よう。

「・・・お先に」





「宮比ちゃんにプロポーズした」





「(・・・馬鹿じゃないのこの人)」

一度出た温泉、僕はなんだかむしゃくしゃして、もう一度だけ入ることにした。
今度また出る時は、それで最後だからな兄貴。

「・・・」

「・・・」

「・・・知ってる」

「ぇ・・・?」

「あの日、僕いた」



「ぇ・・・あ、そーなん―――――っ!?!?」



「全部、見てた」

煮えたぎる気持ちを抑えて、僕は言う。
兄貴だけ良い思いしてんじゃねーよ。