「あ、頼むもの決まりました。えっと、紅茶はアールグレイとカモミールとミルクティー。あと、このケーキセットを3つお願いします」
メニューを指差しながら顔を綻ばせて注文する後輩に、少し微笑ましさを感じながら、俺は胸ポケットから出したメモにそれらを記入した。
「かしこまりました。すぐお持ちいたします。それとお嬢様、差し出がましいようですが……」
「はい?」
わざと言葉を区切ると、3人の視線を一気に浴びることになり、意味もなく緊張する。マニュアルには確か書いてあったはずだ。
「私どもへ敬語をお使いになられては、大変恐縮でございます。ここはお嬢様方の家なのですから、私どもとしては羽を伸ばして楽にしていただきたいのです」
そんな馬鹿な、と言うような台詞ではあるが、何故か女性には喜ばれた。今回も例外ではなく、彼女達も邪気のない笑顔で返してくれる。言わずとも『お嬢様』になりきる客には、正直若干引き気味になってしまうけれど。
それでは、失礼します。
そう言ってテーブルを後にし、宏達のいる戦場と化した隣の教室へ入り後ろ手にドアを閉めると、一気に疲れが押し寄せてきた。もちろん精神的な意味で、だが。
メニューを指差しながら顔を綻ばせて注文する後輩に、少し微笑ましさを感じながら、俺は胸ポケットから出したメモにそれらを記入した。
「かしこまりました。すぐお持ちいたします。それとお嬢様、差し出がましいようですが……」
「はい?」
わざと言葉を区切ると、3人の視線を一気に浴びることになり、意味もなく緊張する。マニュアルには確か書いてあったはずだ。
「私どもへ敬語をお使いになられては、大変恐縮でございます。ここはお嬢様方の家なのですから、私どもとしては羽を伸ばして楽にしていただきたいのです」
そんな馬鹿な、と言うような台詞ではあるが、何故か女性には喜ばれた。今回も例外ではなく、彼女達も邪気のない笑顔で返してくれる。言わずとも『お嬢様』になりきる客には、正直若干引き気味になってしまうけれど。
それでは、失礼します。
そう言ってテーブルを後にし、宏達のいる戦場と化した隣の教室へ入り後ろ手にドアを閉めると、一気に疲れが押し寄せてきた。もちろん精神的な意味で、だが。