「何だよ今の間」

「ここのカウンセラーの白石とかいう先生に邪魔されたんだよ。本格的に寝ようとしたらいきなり屋上に来たから、あんま寝れなかった」

宏は口一杯に頬張ったチョココロネをイチゴミルクで流し込んだ。心底コイツの筋金入りの甘党加減には脱帽してしまう。俺も甘い物は好きな方だが、昼飯にチョココロネとクリームパンとプリンとイチゴミルクなんてセレクトは絶対にできない。……何回も止めたんだ、将来糖尿病になっても、俺は知らん。

「へぇ、由香里ちゃんがねぇー」

「……由香里ちゃん?」

「カウンセラーの先生。白石 由香里っていうんだよ。んで、みんなからは由香里ちゃんって呼ばれてる」

「ふぅん」

豚肉に巻かれたアスパラを箸でつかんで無意味に眺めていると、チョココロネを食べ終えた宏が横からかぶりついてきた。しょっちゅうあることだが、他人の弁当を横からつまみ食いするのはやめて欲しい。

「ん?なかなか食べないから嫌いなのかなぁって思って」

アスパラを1本口から出したまま宏は笑う。……腹が立つ。

「むしろ好きなんだが」

「まぁまぁ。プリン分けたげるから許してよ」

「いらん」